プロデューサー発想のワークフローの基本形
このワークフローのために「イノベーション・ノートのワークシート」を開発しました。
1.Fan ファンに着目する。
ファンは何かを楽しんでいる熱狂的な存在です。
つくり手である自分が「共鳴できる」世界観をもった人びとの集まりを発見し着目します。
伝統的な経営では「顧客に聞く」「ターゲット顧客を決める」「顧客を定義する」などと表現されますが、少しアプローチが異なります。
自社の都合で探すのではありません。自社の商品からではなく、世の中で目立っている「ファン」の行動や現象の「気づき」を集めることから始めます。
「何が流行っているか」から始めるのはひとつの手です。自社の顧客ではない異業種の世界をのぞくほうが、飛躍した発見があるかもしれません。
→ 応用編
ファンと呼べる人たちが、どこで何をしているのか。
プロデューサーの目線で探してください。そこにどんな「楽しいという価値」があるのか、世の中の出来事や事実を観察し記録するのです。
2.Wish ファンを観察し願いをかなえる世界観をイメージします。
まず、何が「楽しい価値価値観enjoy.」なのかを、モノとコトのそれぞれの側面から考えていきます。
そして、ファンがかなえたいコトを把握します。それは、欲しい商品自体ではなく、何をしたいのかというコトに着目します。
例えば、「車用洗剤」が欲しいかどうか、ではなく「きれいな車に乗りたい」というコトです。
そのためには、さらに深堀りします。
→ ペルソナ分析
実際の現場を見て体験して「気づき」を記録しておき、
それを「プロデューサー会議」でシェアします。
3.Wow 新しい価値を提供する仕掛けを実現する
ファンのWish(かなってほしいこと)が見えてきたら、プロデューサー視点から「仕掛け」を考えます。この仕掛けが、「新商品企画」や「新規事業プロジェクト」になります。
さらにアイデアをどうやって実現するのかを考えます。
この時に重要なポイントが3つあります。
「あつめる、とどける、つなげる」
人のつながりから発想する
すでに世の中に存在するモノを組み合わせることで結果を出すことをまず考えます。調べたり、人のつながりから「探し出す」作業をします。
そして、重要な要素となるモノやサービスが存在しない場合には自分で創ります。これは従来発想の「ものづくり」と共通する部分だと言えるでしょう。
どうやって実現するかは最後に考えながら、アイデアを発展させます。その時に重要なのはそのプロジェクトに取り組むチームのメンバーや協力者のリストです。
この作業にはProfile形式のワークシートが役に立ちます。oneに人の名前や企業名を書きます。そして、持っているスキルや才能を書き出し、Passionとして情熱を傾けているコトをまとめます。
何かプロジェクトを考えるときには「人」を起点に考えます。そして、下半分のWorldにどんな世界が生み出せるかを考えます。
もちろん、「enjoy.の価値観」を中心に意識しながら、Fanが楽しむ世界観を描いていきます。
→ マインドマッピング
「ひと」に着目することから始める。
このやり方をつかうと、絶対にロジカルシンキングとはちがうプロデューサー自身の個性や独創性が必要になります。
客観性よりも主観的な側面をファンに対して問いかけることで、彼らの本当のフィードバックにもとづいて機能修正し「次の手」を考えていきます。
また、「正しいかどうかのロジック」ではなく、「説得力やインパクトが有るかどうかのパッション」が問われます。
リサーチや分析などのお勉強ばかりで、行動しようとしない組織とは真逆の主体性や当事者意識、そしてチームの共有できる価値観が重要です。
以上が、プロデューサー発想でビジネスプロジェクトを企画構想する最も基本的な3つのステップです。
まずは、全体を理解しワークシートの使い方を理解するために「ファンのを楽しませる熱い人びとのビジネス発想」からはじめるのが良いと思います。
事業を構想するとは、一般的な「事業計画」や「ビジネスプラン」のような管理や投資審査のための資料作りが目的ではありません。銀行や投資家のための資料作りで事業が生まれるわけではありません。
事業を継続する限り、どんどん構想は変化できるように柔軟な表現とブレない視点が必要です。
事業をサポートしてくれるメンターやプロジェクトチームの仲間とアイデアをシェアし、行動しフィードバックを得て「次の手」を考える。
これが、プロデューサーのやり方だと考えています。
20年前には長期計画を立て、予測通りに現場を管理し失敗のない事業しか推進することはできませんでした。しかし、世の中のスピードが早くなるにつれその成約がない分野が成長するようになりました。
「発想を変えれば、結果は変わる」
インターネットの時代だからこそ、それが可能なのです。
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